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「そや、浮き袋もなしでどんどん沖へ行くし、クラゲ捕まえたりして、危ないことばっかりするさかい、目ぇ離されへんかった」
「兄貴は、大人しいのになあ」
「由美子は運動会と遠足だけ大好きで、十二人のいとこの中で、がっこの成績は一番悪おしたなあ」
「悪いてなもんやおへん。家庭教師つけることにした、て言うたら腹立てて、ほりこ川へランドセル放りこみに行った」
「ほんまこの子だけは、平手打ち、嫌ちゅうほど食らうて大きいなってるえ」
「器量もなあ・・・こら持参金やて、子供の時はえらい心配したなあ」
「そやけど物は言いようどすな。個性的やとか言うてもろうて、立派な婿候補もある」
「蓼も好き好きで、まずはめでたい」
「そや。人間、何がさいわいするやわからん」
「ええか、由美子。死ぬまで、猫は被り通せよ」
わあわあ言うております。
小百合は、「由美子さんて、いい年して、人見知りね」とよく笑っております。
「家庭環境のせいにするんじゃないわよ。人見知りなんて手前勝手の異名よ。どう持って行くのが得策か。踏み込むか、早いこと手引く相手がどうかを、目の隅で冷静に観察しているのよ」
「さよか」
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