COME TOGETHER

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 小百合は、たとえバッキンガム宮殿に招かれたところで、身じろぎもしないのだろうと存じます。エリザベス女王につかつかと近寄って、「退屈なお茶の会なんかこっそり抜け出して、カーナビー・ストリートの裏町のパブへまいりませんこと?」くらいは平気で奏上するだろうし、彼女の誘いは断られることはない。 女王陛下の黒ビールは、もちろん小百合が奢るのでございましょう。 壇上の小百合は、りんとして美しうございました。 「本日は、学内からよその活動家は締め出すと言う、学校側の一方的な申し出について討議するための集会でしたが、討議は必要ありません。自治会長の名により、今朝これをすでに受け入れました。私はこの場で、たった今、会長を辞任いたします」  千人の女の子の口からどよめきがもれました。ナンセンス、権力の犬、なんて怒号がとぶ。大教室の最前列をずらりと陣取って、ミニスカートの足を組んで並んでいた、中島派の私達でさえ驚きました。これを受け入れたら、明日から校門は閉ざされる。警備員のチェックで学生証を見せてキャンパスに入ることになる。  小百合はしばらく薄笑みで轟々たるざわめきを聞いていました。それが納まると、静かな声で、     
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