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YESTERDAY
木の芽の、散らし寿司でございますか、お手つくりの。・・・美味しうございます。
あら、飛行機の音・・・・。この御影あたりにも、時々の、風向きで?
あれも初夏でございました。
東山七条で市電をおりて、母と二人、ゆるやかな坂道を山の方へ歩き始めた私は、十八歳。大学一年生でございました。ジョン・レノンもナタリー・ウッドも、まだしゃんしゃんして生きておりましたし、ベトナム反戦の学生運動が、アメリカ東海岸からの飛び火で、ぷすぷすくすぶりかけて、「卒業」と「いちご白書」が青春を青春たらしめ、男たちの髪が長くなりつつあった時代でございました。
両側に商店の並ぶ通りを抜けるとお寺の築地塀が白く続いて、福露寺のご門が近づいてまいります。ふくろ寺、通称みみずく寺は、宮川町の芸者上がりの八重子姐さんが、一応は「後妻」の大黒さま、八卦見その他何かと有名な「みみずく先生」でございます。まだ帝が御所におわしたころから、代々、京都中京の商家に生きる母や伯母たち、私の回りの女は、当時の女子学生のバイブルのようにもてはやされたシモーヌ・ド・ボーボアールやバージニア・ウルフが、しゃかりきに何を言おと、馬鹿にもしない代わりに、
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