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恐怖で血液の流れが速くなり、どく……、どく……、と、脈打つ音が鼓膜に響き渡ります
目を開けちゃだめだ。開けちゃだめだ
眠りに逃げられないと悟った母は、必死に目を閉じ続けていました
なにがいるかはわからなかったのですが、ただ、「開けちゃダメなんだよ」という声に従わなければならない
そう感じていたそうです
かさ……っ
耳元で、紙が擦れるような音が聞こえてきます
「それは……、そうすると……」
「きゃははっ、それで~~?」
「……その時……で、……」
かさ……かさ……
紙の擦れる音とと共に、本のようなものを取りだし、音読を始めたそうです
なにをしているのか気になり、思わず開きそうになる目に力を入れて開かないように必死になっていると……
「開けちゃダメなんだよ」
という声がより近くで聞こえてきたそうです
ですが、同時に
「なんで開けないの?」
という声が、紙の擦れる音がした近くから聞こえてきたそうです
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