10人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は恐る恐る、外を見ました。
うちの庭には、大工仕事が趣味の祖父が作ったブランコが置いてありました。
そこに、鈴ばあさんは座っていたのです。
いつもの鈴が一番ついたバッグを持って、じーっとこちらを見つめる鈴ばあさんの姿は、あまりにも異様に思えました。
俺は怖くなり、カーテンを閉めて別の部屋に移動しました。
携帯電話など普及していない時代です。母親に連絡などできません。
俺はただただ、鈴ばあさんがいなくなることを願っていました。
でも次の瞬間、さっきまで俺がいた部屋から、あの音がしたのです。
――チリン。
最初のコメントを投稿しよう!