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俺には、何が何だかわかりませんでした。
カギは閉まっていましたし、通り抜けられるような窓もありません。
なのに、さっきまで外にいたはずの鈴ばあさんの鈴の音が、なぜ家の中から聞こえるのか。
俺はもう怖くて怖くて震えあがってしまいました。
その次の瞬間――
――チリン。
また、鈴の音です。
さっきと同じ部屋からです。
俺はもう逃げだしたくてたまりませんでしたが、小さい家でしたので玄関に行くにもトイレに行くにも、あの部屋が見える廊下に出なくてはなりません。
それは、あの時の俺には耐えがたい恐怖でした。
――チリン。
また、鈴の音です。
しかし、今度は先ほどより近づいてきています。
俺はもう泣きながら、テーブルの下へと隠れました。
ですが、そんなことで逃げられるはずもありません。
そして……
――チリン。
鈴の音が、俺のすぐそばで聞こえました。
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