未来。

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未来。

ユスーポフ候は机に座り、膨大な資料に目を通しながら、ある事を静かに待っていた。 と、背後にそのある事は現れた。 「アナスタシア様。お待ちしておりました。」 そう。アナスタシアは、夜皆が寝静まるのを待ち、ユスーポフ候の邸宅に瞬間移動してきたのだ。 「わたくしがあなたの所へ来る事がおわかりになっていたのですか?」 アナスタシアは驚いて尋ねた。 「はい。アナスタシア様がその能力で飛んでいらっしゃる事はわかっておりましたもので。」 どこまでこの方はわたくしの能力をわかっているのか?アナスタシアはいささか恐ろしさを覚えた。 「あなたはどうしてわたくしの能力をご存知なのでしょうか?お父様ですら知り得ない事でありますのに。」 アナスタシアは恐る恐るユスーポフ候に問いかけた。 「アナスタシア様も、もうお分かりの通り、私にも同じ様な能力を神から授かったのです。」 「あなたと同じ、心を読む能力。そして、未来を見通す能力です。」 話をしていくと、アナスタシアが弟アレクセイの血友病の治療に人知れず手を貸していた事。上の姉マリアのみが、この能力を知っている事。全てが彼には見えていた。 「アナスタシア様。私はニコライ皇帝の忠実なる部下でありますので、どんな事が起きようとも皇帝の側を離れる事はありません。」 「只、アナスタシア様。私には見えているのです。このロシア帝国、ロマノフ王朝はもう長くは続かないでしょう。そのロマノフ王朝が崩壊した後、民衆全てを救う事の出来る方は貴方様、アナスタシア様なのです。」 「私は貴方様をお守りする為に、この能力を神に授けられたと思っております。貴方様が新しいロシア帝国の真の指導者なのです。」
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