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「アナスタシア様。お待ちしておりました。」
ユスーポフ候は深々と頭を下げた。
「今日は、アナスタシア様と同じ能力を持つ、同士をご紹介致します。」
アナスタシアは、予想だにしない出来事に言葉もなく立ち尽くしていた。
ユスーポフ候が呼び鈴を鳴らす。
すると、ひとりでに扉が開き女性と男性の2人が部屋へと歩んできた。
2人が部屋に入ると、違うもう1人の男がパッと姿を現した。瞬間移動だ。
「ご紹介いたしましょう。こちらの女性は。。。アナスタシア様ももうご存知ですね。私の妹ヴェーラ、ユスーポフ嬢です。」
ユスーポフ候は、少し楽しげにそう話した。
「お久しぶりでございます。アナスタシア様。ヴェーラでございます。」
ヴェーラは深々と頭を垂れた。
「ヴェーラさんっ。あなたがいらっしゃって、わたくし本当に心強いですわっ。」
顔見知りの、アナスタシアにとって姉の様な存在のヴェーラが仲間である事は、心から喜ばしい事であった。
「はい。わたくしはアナスタシア様と同じ様に、心を読む能力。そして人々を暗示にかける能力がございます。」
ヴェーラは優しい微笑みを浮かべながら、そう答えた。
「そしてこの先程扉を開けた男。ミハイル、ラザレフ憲兵隊大尉です。」
ミハイルは頭を垂れ、
「お会い出来て光栄です。私は。。。」
ミハイルは話をしながら、机に置いてあったワイングラスをアナスタシアの見える所まで浮遊させ、パンっと粉々に粉砕して見せた。
「ご覧の通り、私は念動力を持っています。」
ふふんっ、とニヤついた顔でミハイルは言った。
そこで、ユスーポフ候が話を付け加えた。
「ミハイルは革命軍ボリシェビキの主要メンバーでもあるのです。革命軍ボリシェビキは我々と連携を取ることになります。」
考えもしない事態にアナスタシアは震えが止まらなかった。
そしてミハイルはこう付け加えた。
「私達革命軍ボリシェビキは、貴方様をお守りし、真の指導者としてお仕えする所存でございます。」
この時アナスタシアは、近い未来、父ニコライ2世のロマノフ王朝が終わりを迎える事を実感し、自分の責任ある未来に打ち震えた。
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