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計画。
12月に入り寒さも一層厳しくなってきたある日の午後。ユスーポフ候はアナスタシアの心に話しかけてきた。
「アナスタシア様。本日の夜、いつもと同じ時刻にお越しいただけますでしょうか?
ラスプーチンの計画が固まりましたので皆で集まり進行をお話しいたします。」
とうとうその時が来た。鼓動が高鳴るのを感じるアナスタシア。
「わかりました。本日の同じ時刻に伺います。」
どのような計画なのであろう?ユスーポフの考えている事はアナスタシアは読み取る事は出来なかったが、何をしようとしているかは察しが付いていた。
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アナスタシアはいつもと同じ、宮殿の皆が寝静まった夜更けにユスーポフ候の屋敷へ飛んだ。
「アナスタシア様。お待ちしておりました。」
アナスタシアが屋敷に到着すると、ヴェーラ、セルゲイ、ミハイルが既に集まり、アナスタシアに頭を垂れた。皆、厳しい顔をしている。
「アナスタシア様。3日後の12月17日。ヴェーラがラスプーチンを当屋敷に招待を致しました。その時の食事の中に毒を入れラスプーチンの暗殺を決行致します。」
ユスーポフ候は張り詰めた面持ちで話をした。
「そのラスプーチンの最後の瞬間をアナスタシア様に同席して頂きたいのです。」
やはりそうであったか。アナスタシアはユスーポフ候が暗殺を考えているのではと察しが付いていた。その事を止める感情はもはや持ち合わせていなかったので、アナスタシアは快く承諾した。
ユスーポフ候は話を続けた。
「私、セルゲイ、ミハイルはカーテンの裏に隠れております。万が一の時には私達がラスプーチンの息の根を止めます。」
「アナスタシア様は、何事も無いようにラスプーチンと会食をして下さい。決してラスプーチンに悟られない様に。。。」
「わたくしの出来る事全て協力しますわ。ラスプーチンを亡き者にする為なら。。」
迷いも不安も今や何も無い。ラスプーチンに慈悲の気持ちも全くない。
只あるのは、この同志達との計画を確実に実行する。
その気持ちのみ持ち合わせているアナスタシアであった。
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