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怪僧ラスプーチンの死。
12月17日。
雪が深々と降り積もり静かな日であった。
アナスタシアは夕暮れ時にユスーポフ候の屋敷に飛んだ。
屋敷に到着するとヴェーラが美しく正装し、アナスタシアを出迎え、
「お待ちしておりました、アナスタシア様。晩餐は地下にて行います。どうぞこちらへ。」
ヴェーラは地下へとアナスタシアを促した。
地下は美しく飾りたてられ、この後の惨劇を全く感じられない様相であった。
部屋の奥には分厚く仕切られたカーテンがあり、そこから、ユスーポフ、セルゲイ、ミハイルが姿を現した。
「アナスタシア様。ようこそいらっしゃいました。手筈は全て整えております。」
「アナスタシア様。決してラスプーチンに悟られないように。。。」
ユスーポフ候は、眼光鋭く、薄明かりの中、清潭な顔立ちがより鈍い光を放っているように見えた。
「承知しておりますわユスーポフ候。ロマノフ王朝の名にかけてお約束いたしますわ。」
アナスタシアもユスーポフ候と同じ覚悟。この計画を成功させる為にはどんな事になろうともやり遂げてみせる。
硬く心に誓いを立てているアナスタシアであった。
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