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その夜、父のニコライ二世や母アレクサンドラから大層アナスタシアはお説教をされ、
しょぼくれながらマリアと共にベッドへ入りました。
「お姉さま。あのね、わたくし何だか他の方と違うみたいなの。」
「どうして?」マリアが不思議そうに尋ねると、
「あのね、わたくし行きたいと思った所に行けてしまうし、人が何を考えているかわかってしまうのですもの。」
マリアは愕然としました。
「アナスタシア。それはいつから出来る様になったの?」
「えっと、きっと生まれて来た時からだと思うわ。」
理解しようとマリアは必死で考えても言葉が出てきません。ですが、アナスタシアがいなくなった所を直接マリアは見ているのです。信じられない事ですが事実なのだと思うしかありませんでした。
「ねえアナスタシア。あなたの持っている能力は特別な力なの。もしこの力が皆に知られてしまうと、何か途方もなく危険な予感がするわ。お願いアナスタシア。この能力の事はわたくしとあなただけの秘密にして。そしてあまりこの能力は使ってはいけないわ。あなたの能力は神が授けた能力。きっとその能力を使う時が来るはずよ。その時まではむやみに使わないで。」
マリアはその能力の驚きと共に、自分たちの皇女としての危険を感じ、力強くアナスタシアに話をした。
「わかりましたわお姉さま。きっと神が授けてくださったのねっ。神が使いなさいと言われるまで使わないわ。」
アナスタシアもこの能力の危険さがひしひしと感じられ、能力が発揮するその時まで使う事を封印したのでした。
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