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懐かしくなり、ふふ、と笑いながら何気なく反対側を見れば同じく信号待ちの車が並んでいる。
渋滞で嫌なのはこういう時だ。
ちょっと横を見れば目が合ってしまうのだ。
今回も例に漏れず目が合う。
「うわっ。」
思わず声が漏れたときには手遅れでしっかりと男性の顔を確認してしまった。
ファン!
「……!」
クラクションだ。
信号が変わっていたようで、前の車が大分遠くに行ってしまっている。
急いで発進させなければ。
心臓がドクドクと苦しい。ハッハッと呼吸が乱れる。
「ママー、どうしたのー?あおになったらしゅっぱつしんこうでしょー。」
息子の声が遠くに聞こえる。イヤホンをしている時のようだ。
胸の辺りを掴み呼吸を整える。
落ち着け、落ち着けと思えば思うほど心臓の高鳴りは言うことを聞かない。
目の前がボヤけてしまう始末。
……あぁ、これは。
目の前がボヤけてしまうのは、初めから結末が分かっていたからなのか。
きちんと理性が働いたのか。
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