理由は後付け

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 2年の終わりまで、良くも悪くもユイは普通の生徒だった。普通の生徒は大抵、必要なだけの勉強をし、運動をした。時には放課後に友達とコッソリ買い食いをするし、男子の噂話をする。友達とクラスが分かれても修学旅行の自由行動は一緒に行動するし、相変わらず休日は一緒に遊ぶ。ユイも保育園児時代からの付き合いのナオミ、小学校で仲良くなったリョーコ、ナツキ達と、学生時代の大半の時間を共に過ごしていた。中学校に上がってからは別の地区からの人間も増えたが、ユイにとって3人は特別だった。3人の方も、そうだと思っていた。  新学期になった途端、状況が一変した。クラスに知り合いがいないだけでは無い、気付けば誰もユイと口をきかなくなっていたのだ。クラスメイト全員が彼女を見ない様に振る舞い、机も押しやられた。隣のクラスにいるナオミでさえ「受験生」になったからか、廊下ですれ違っても会話をする事が無くなった。リョーコとナツキに至っては、クラスが遠い事もあり姿を見る事さえ滅多に無い。以前は3人とも、誰かしらの教室に休み時間ごとに集まっていた。それが今はナオミの元にも、リョーコとナツキが姿を見せている風では無かった。勿論ユイの元にも、誰も訪れる事は無い。ユイは孤独だった。一人になりたくて自分から離れた時と、望んでいるのに誰も傍に来てくれない時の孤独感は比べ物にならない。 (もういっそ死んでしまいたい。) 言葉だけが、ユイの中を駆け巡った。
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