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理由は後付け
(いっそ死んでしまいたい。)
心の中でそう何度繰り返したか分からない。実際ノートにも数頁にわたって書き殴った事もある。15歳で人生を諦めるなとテレビに言われても、今の現状から抜け出せるならば喜んで悪魔に魂を売り渡す所存だ。教室の窓際、一番前の席。から更に前に1つ突き出ている席。それが今のユイの席だ。生徒だけじゃない、教師までもが自分の存在を無い事にする。この学校は狂っている。
こんな境遇に置かれても、ユイが学校に通い続ける理由は歪んだ思春期のお陰だった。今、最も口をききたくない両親と過ごす時間を出来うる限り減らしたい。日の出と争う様に家を出て、時間を出来うる限り使って登校する。始業ギリギリに教室へ入り、空気になって過ごす。そして、日が沈むのを待って帰宅する。
(自分と言う存在が消える事で悲しむ存在は、両親だけだ。)
ユイは考える。もしかしたら悲しんでいる振りをしているだけで、彼らは全然悲しまないかもしれない。場合によっては家でも学校でも、邪魔者が消えたと喜ばれるかもしれない。苦しんでいる自分だけが損をして、それを助長している他人だけが得をする。憎い相手を全員殺すだけの勇気が自分に無い以上、自殺は負けだ。許したくない。その一念だけでユイは家で部屋に籠り、学校では椅子に座り続けた。怒りだけが、ユイを此処に留まらせる。
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