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謎を解いた俺は読書部に戻った。地多の趣味を口外しない代わりに、覗きは辞めると約束させて。後日、壁のヒビは埋めるとも約束してくれた。
今回の件は新聞の記事にはできそうもない。前田が来たら謝ろう。前田にスマホで調査終了のメッセージを送った。あとは前田を待つだけだ。
数分後、読書部の扉を開けて前田が戻ってきた。手には一冊の卒業文集を持っている。
「白石、調査が終わったってことは謎が解けたのー?」
「いや悪いが解けなかった。本当に幽霊なのかもしれねーな」
俺は嘘をついた。悪い。真相は男の友情のために隠させてくれ。
「ははー、やっぱり? 実は私もねー、幽霊だと思うんだよ。ほら、これ見て」
前田は持っていた卒業文集のページを開いて見せてきた。
「これはねー、二十年前の文集なんだけど。ここに載っているんだよ。雨の日の幽霊の話が! 二十年ぶりに蘇ったんだねー」
「……おぉ。マジか」
幽霊、マジでいるのかも。
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