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「こんちは。ちょっと聞きたいことがあるんですが」
俺は美術室の扉を開けて中にいる美術部員に声をかけた。美術室には三人の男子がいて、一人がキャンバスに向かっており、二人は椅子に座ってダベっているようだった。
「やぁ、見学かい? 歓迎するよ」
キャンバスに向かっていた一人の地味な男子が立ち上がった。俺より大分背が低くて痩せている。150cmちょっとってところか。大きい眼鏡に赤ら顔。同じ地味系男子として好感が持てる。文化部はこうでなくちゃいけない。
「僕が部長の地多(ちだ)。この二人は鈴木と佐藤。皆、二年生だよ。よろしく」
「よろしくお願いします。俺は一年で読書部の白石です」
簡単に自己紹介を済ませる。
「あぁ君が噂の読書部の探偵さんか。ということは何かの調査かい?」
地多が少しがっかりしながら言った。
「実は新聞部の取材を手伝っていまして。雨の日にだけ出る幽霊について調べているんです」
俺がそう言うと座っていた鈴木が声を上げた。
「おー知ってるぜ! 確か今年の六月くらいから急に噂になったんだよな!!」
鈴木は体も大きいが声もデカい。パッと見、どう見ても体育会系にしか見えない。なぜお前は美術部に入っているんだ。
「でも僕たち美術部員は見たことないんだよねぇ。雨の日は湿度が高くて絵の具のノリが悪いからさぁ」
肥満体の佐藤がハフハフ言いながら教えてくれた。デブというのも文化部っぽくて良いぞ。
「まぁそんなに真面目に活動しているわけじゃないんだ。雨の日とかはサボっちゃうことが多いね」
地多が少しはにかみながら言う。読書部も似たようなもんだ。
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