雨の日の幽霊

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「女子テニス部がそんなことするはずないよー!」  読書部に戻ったら前田がいたので、調査結果を話したら反論された。いわく真面目に部活をやっているコたちで騒ぎを起こすタイプじゃないと。 「だけどな。美術部はモテない男子だけだし、女友達も遊びに来ないんだぞ」 「でも女テニの皆はそんなことしないしー。そんなの記事にできません」 「記事にしなきゃいいだろ。得てして真相なんて退屈なもんさ」  ふてくされてる前田を見ると、本を何冊か持っていた。よく見るとこの学校の卒業アルバムだ。 「あー、これ? 誰も見覚えのない女子の幽霊だからさー。昔の生徒かもしれないと思って、図書室から卒業アルバム借りてきたんだ。友達に見せようと思って」 「なかなか良い思いつきだな。ちょっと俺にも見せてくれよ」  前田から卒業アルバムを受け取り、パラパラとめくる。ここ二~三年の卒業アルバムだ。 「じゃあ、後で回収しに来るから卒業アルバム見てて。私はまた図書室に行ってもっと古いアルバムや卒業文集を借りてくるから」 「おー」  アルバムをめくりながら生返事を返すと、前田は部室から出ていった。  卒業アルバムってこんな感じなんだな。楽しそうな写真がいっぱい載っている。俺も高校を卒業した時に、こんな楽しい卒業アルバムの一員になれるのだろうか。  ふとある写真に目が止まった。見知った顔があったような気がしたからだ。そこに写っているのは髪の長い可愛い女子だ。 「これは……」  どうやら謎は全て解けたようだ。
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