雨の日

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今回もまた、彼女が、僕のことをどう思っているのか聞きそびれてしまった。 でも、まあ、いいか……。そんなこと聞かなくても答えはわかっていることだ。 僕も彼女も、お互いのことを友人以上の関係、つまり家族だと思っている。 そう僕は信じている。 満腹になったので欠伸を一つして、毛づくろいを始める。 「今日から晴れの日が続くんだって!」とテレビの天気予報を見ていた彼女がこちらを振り返った。 そりゃよかった、しばらく、人間にはなりたくないからね、と僕は思った。 ──雨が降ると彼女は魚になった。そして、雨が降ると僕は人間になった。 どうして、雨が降ると彼女が魚になるのかは、わからないけれど、僕が人間になる理由はなんとなくだが、わかる。 それは、きっと、猫のままだと、魚になった彼女を食べてしまうからだろう。
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