14人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
大地に佇んだままの無抵抗な草花を、痛くて熱い花火の炎で嬲るように、残酷に。
しかし、これ以上踏みつけられ、燃やされて、痛めつけられることにも、美咲はもう耐えられなかった。
繰り返し焼べられた花びらは、燃えて尽き、消えていくしかない。
楽になるために。
煉獄から解放されるために。
「(さあ、今こそ楽になろう……)」
「花宮……?」
「!? な……っ」
背後から気配もなく現れた存在の呼び声に、心臓を鷲掴みにされた美咲は、驚きのあまりばっと後ろを振り返った。
すると、そこにいたのは何故か。
「花宮じゃん。何してんのさ、こんなとこで」
「あ、あんたこそ……何で……っ」
「あんた、じゃないぜ? 悲しいなー……俺は花宮を覚えてんのに。花宮は、俺を知らないのかー……ショック」
「馬鹿にしないでっ! あんたの名前くらいは、覚えているわよ! 山田!」
「おーし! ちゃんと覚えてんじゃねぇか! 俺は嬉しいぜ♪でも、俺的には五十点ってとこかなー。花宮にも俺のこと、下の名前で呼んでほしいんだよなー」
「知らないわよ! そんなこと!
絶対、死んでも呼ばない……わよ!……てか、あんたこそ何しにここに?」
最初のコメントを投稿しよう!