第一花~月夜と野に咲く花束~

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大地に(たたず)んだままの無抵抗な草花を、痛くて熱い花火の炎で(なぶ)るように、残酷に。  しかし、これ以上踏みつけられ、燃やされて、痛めつけられることにも、美咲はもう耐えられなかった。  繰り返し()べられた花びらは、燃えて尽き、消えていくしかない。  楽になるために。  煉獄から解放されるために。  「(さあ、今こそ楽になろう……)」  「花宮(・・)……?」  「!? な……っ」  背後から気配もなく現れた存在の呼び声に、心臓を鷲掴(わしづか)みにされた美咲は、驚きのあまりばっと後ろを振り返った。  すると、そこにいたのは何故か。  「花宮じゃん。何してんのさ、こんなとこで」  「あ、あんたこそ……何で……っ」  「あんた、じゃないぜ? 悲しいなー……俺は花宮を覚えてんのに。花宮は、俺を知らないのかー……ショック」  「馬鹿にしないでっ! あんたの名前くらいは、覚えているわよ! 山田(・・)!」  「おーし! ちゃんと覚えてんじゃねぇか! 俺は嬉しいぜ♪でも、俺的には五十点ってとこかなー。花宮にも俺のこと、下の名前で呼んでほしいんだよなー」  「知らないわよ! そんなこと!  絶対、死んでも(・・・・)呼ばない……わよ!……てか、あんたこそ何しにここに?」     
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