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晴れの日
今でもたまにこの町へくるとあの公園を歩く。思い出深い大きな杉の木の下。いつかあいつに会えるといいなと思って。いつかそんな日が来たらいいなと思って。だから、通り掛かれば足を止めて呼んでみる。
「チャコ」
耳を澄ます。しかし返事など聞こえる気配はまるでない。
じゃあ、これならどうだい?いつか聞いたあの綺麗な名前。僕はちゃんと憶えている。
「―――・・・」
さあ、もう一度風に耳を澄まそう。今日も良く晴れている。けれど鞄の中にはちゃんと傘を入れてきた。きっといつかは雨が降ってくれますようにと、ありったけの想いを込めて。
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