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茶に染めた髪がすっかりと伸びてしまって、生え際の黒とのツートンカラーが目立つ。その無造作にかき上げただけの頭と同様に、白を基調としたシンプルな装いにも至って飾り気の無い女であった。すとんと大きめのシャツをラフに着こなし、ピアスやブレスレット等の装飾品も無し。しかし、ほぼ化粧を施していないであろう顔立ちには人好きのする懐っこい笑顔と凛々しさが同居していた。吃驚するくらい大きな目の中で瞳は濃く深い。正面からこの様にじっと覗き込まれればドギマギとしてしまう。それが異国の香りなのかと言えば上手く判断できないが、女はその見た目から些細な仕草にまでどこかしら異質な空気を感じさせた。そして、不思議と懐かしい。
窓の外は久方の雨。ここしばらくの乾ききった空気を潤すシャワーのような雨が地面に落ちている。
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