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「うちの担任は何考えてんだよ...けどまぁ、オレらはいいとして...お前王子だしな。まずいよな」
「…王子って呼ぶなよ」
「お、悪い悪い」
「謝る気無いだろ」
「別にー」
数少ない友人ではあるが、人が気にしていることを平然と言う、デリカシーの欠片もない奴。
バーナーにユーリが物申そうとした時、遠くから桜色の髪の小柄な少女が二人に向かって駆けてくるのが見えた。
「ちょっとぉぉぉぉ!そこの男子ぃぃぃぃ!!サボるなぁぁぁぁ!」
そして、少女はこちらに向かって人差し指を突き出した。彼女の行動に二人はハッと息をのんだ。そして、その場を離れようと草原に向かって全力で駆けだした。
「おい、プリム!!やめろおおおおおおおおお!!」
「違うんだ!!サボってなんか!」
その言葉とほぼ同時に少女の手から放たれたオレンジ色の閃光。物凄い速度で迫る炎系の魔法に二人は目を見開いた。
「うわああああああああああああああああ!!」
魔法は間一髪二人を掠めただけだったが、魔法が直撃した近くの地面が大きく抉れていた。そこから赤々とした炎が燃え上がっている。
「問答無用なのです」
炎を背に、プリムは得意げにクラスメイト達を振り返った。
「プリムちゃん、カッコイイ!」
ふわふわの銀髪の小柄な少年がプリムに拍手を送る。
「ほんと!?スコッティ!」
「うん、とってもかっこよかったよぉ」
一方、もう一人のクラスメイトの長髪の美少女は、燃え上がる炎を見ながら疑いの眼差しを向けた。
「 ねぇ、プリム、大丈夫なの?」
「いいのいいのー、問題なーい!って‥‥アレ?」
「おいいいいいい!!火、消せよおおおおおお!!」
振り返ると、周囲を炎に包まれ逃げ場のなくなったバーナーが叫びながら走り回っていた。その炎の外側でユーリがプリム達に向かって叫んだ。
「まずい!バーナーが燃える!」
プリムは魔法のコントロールが出来ない。そして、彼女が展開した魔法はひとりでに終息したことがない。おそらく鎮火する前に燃え広がるだろう。そう予測したユーリは、バーナーに声をかけようとしたが、やめた。さっきの仕返しに、彼を懲らしめるのには好都合だ。バーナーより先に立ち上がり一瞬で距離を取った。そしてその思惑通り、延焼した草原はバーナーだけをとり囲んだ。
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