相沢さんと僕

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 謝られて初めて、ビンタを喰らったんだと気付いた。  ノーモーションビンタ。もう少し彼女の腕力が強かったら、僕の首はぽっきり言っていたかもしれない。なるほど、テンパると手を出すタイプか。後でメモに書き加えておこう。 「あ、違うの、えと、わざとじゃ無い……。違くて、えと……」  顔を戻すと、顔を真っ赤にして慌てている相沢さんがいた。 「相沢さん、落ち着いて」  混乱させた本人が何を言っているんだって感じだけど。 「えと、あの……。え? 私? え? ど……どゆこと?」 「いや、だからね。相沢さんをちらちら見て、メモを取ってね、キャラクターを作ってたんだ」 「私が……キャラ?」  両手で顔を覆ってしまう相沢さん。  なんか、すっごい罪悪感。  どうしよう。謝った方が良いかな。 「何か……すっごい恥ずかしいんだけど……」 「ご……ゴメン」 「私……主役なの?」 「え、うん」 「どんな……話?」 「それは……まだ。キャラを作ってたところだから」 「でも、ストーリーが無いと、小説じゃないよね?」 「それは……これから」 「じゃあ、今はただ私の情報を集めて、君の頭の中で都合の言い私を作ってただけ?」  そういう表現は悪意を感じるけれど、違うとは言い切れない今日この頃。 「そんなのダメ」     
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