2人が本棚に入れています
本棚に追加
謝られて初めて、ビンタを喰らったんだと気付いた。
ノーモーションビンタ。もう少し彼女の腕力が強かったら、僕の首はぽっきり言っていたかもしれない。なるほど、テンパると手を出すタイプか。後でメモに書き加えておこう。
「あ、違うの、えと、わざとじゃ無い……。違くて、えと……」
顔を戻すと、顔を真っ赤にして慌てている相沢さんがいた。
「相沢さん、落ち着いて」
混乱させた本人が何を言っているんだって感じだけど。
「えと、あの……。え? 私? え? ど……どゆこと?」
「いや、だからね。相沢さんをちらちら見て、メモを取ってね、キャラクターを作ってたんだ」
「私が……キャラ?」
両手で顔を覆ってしまう相沢さん。
なんか、すっごい罪悪感。
どうしよう。謝った方が良いかな。
「何か……すっごい恥ずかしいんだけど……」
「ご……ゴメン」
「私……主役なの?」
「え、うん」
「どんな……話?」
「それは……まだ。キャラを作ってたところだから」
「でも、ストーリーが無いと、小説じゃないよね?」
「それは……これから」
「じゃあ、今はただ私の情報を集めて、君の頭の中で都合の言い私を作ってただけ?」
そういう表現は悪意を感じるけれど、違うとは言い切れない今日この頃。
「そんなのダメ」
最初のコメントを投稿しよう!