相沢さんと僕

12/13
前へ
/13ページ
次へ
 背筋を伸ばし、太ももの上で手を組んで、顎を引いて真っ直ぐに僕を見つめている。瞬きが多くない? 「……言うの?」  深く、はっきりと相沢さんは頷いた。 「好き……です」 「はい」  にっこり笑って頷く相沢さん。  僕は過呼吸とか動悸異常とかで死にそう。 「じゃあ、小説楽しみにしてるね」  ぴょん、とベンチから立ち上がり、相沢さんは小走りに去って行った。  ……と思ったら戻ってきた。 「夏休み、デートだよ?」 「あ、は……はい」 「後、千景って呼んで」 「ち……千景」 「ふふ。じゃーねー」  今度こそ小走りで行ってしまった。  
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加