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そんな風に思っちゃったんだから仕方ない。
「えーと、じゃあ正直に……言うよ」
「うん、言って……」
ああ、心臓がバクバク言ってる。
相沢さんが僕を見つめる視線が、物理的に刺さっている気がする。
「実はね……その……」
「何?」
「相沢さんを見てたのは……」
「うん」
君をモデルに小説を書いていたんだ。
喉に何かが使えているみたい。急に声が出てくれない。
相沢さんがじっと待ってるのに。真っ赤な顔して、小刻みに震えつつも待ってくれているというのに。
ええい、この根性無し。
「ほら、頑張って。私、聞いてるから」
だから言えないんです、とは最早言えない。
「つまり……相沢さんを……」
「私を?」
「モデルに……」
「モデ……もで?」
「小説をね……書いてて……」
「……焼結?」
きょとん。
相沢さんはまさにきょとんとした。
「私をモデムに脳内インターネッツ?」
言ってません。何そのサイバーな響き。怖いですよ。
それから更に数秒の後。
ぼんっ、という音が聞こえそうな勢いで相沢さんの顔が真っ赤になった。
パァンッ!!
さらに、小気味の良い音と共に風景が突然スライドした。
違う、僕の顔がぐるんと動いたんだ。
そして、頬っぺたが痛熱い。
「あ、ごめん、つい……」
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