嵐は前触れもなく

21/21
317人が本棚に入れています
本棚に追加
/288ページ
「でもまぁ、ツキノの言う通りかなぁ。誰からやる?全員一纏めでも僕達は構わないよ?どうせ僕達の独壇場だし?」 にっこり笑顔でとんでもない事言い出した! カイトの言葉に少年達が一気に気を荒立てたのが分かる。 「ツキノは前回優勝してるんだから、こんなのズルだろっ!」 「あぁ?俺だってやりたくて来た訳じゃねぇや、カイトに無理矢理連れて来られただけだし、俺とやるのが嫌だって言うなら、俺は見てるからお前等で勝手にやれ」 「えぇ…ツキノ、さすがにそれは酷くない?」 「お前一人でもこいつ等くらいどうにでもなるだろう?」 「うぅ~ん、そうかもしれないけどさぁ」 少女と見紛うばかりの美形が2人、厳つい少年達に囲まれて威嚇されているにも関わらず、そんな会話を続けていて、俺は『なんでこの人達わざわざ怒らせるような物言いするのかな…』と少し呆れてしまった。 「えぇ、ツキ兄やらないの?」 そんな中、呑気なウィルの一言。空気読め、ウィル坊! 「だって正直面倒くさい…こんなのただの余興だろ」 こっちもこっちで空気読めっ! 少年達は更に殺気を纏ってこちらを睨みつけてくる。ついでに俺も睨まれる。 お願いだから、俺を巻き込まないでっっ! その場の空気は一瞬即発、俺はその時、あわあわと事の成り行きを見守る事しかできなかった。
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!