320人が本棚に入れています
本棚に追加
「同じくらいの歳かと思ったのに、ビックリだよ」
俺は人より少しだけ体格がいいのと、ほとんどを祖父母に育てられているので老成して見えるのか年上に見られる事がよくある。
それにしても彼と同じくらいというのはあり得ない、自分はそんなに老けて見えるのだろうか…まぁ、そのおかげでここまで無事に一人で旅をしてこられたのだから文句も言えないのだけど。
「それにえっと、実を言えばその当時自分もルーンに暮らしてたから、ちょっと驚いた」
「え?そうなの?」
「うん、小さかったからうろ覚えだけど、住んでたよ。確かにあの頃あそこには騎士団員がたくさんいたよね、でも、赤髪の人なんていたかなぁ…?」
彼はそう言って首を傾げた。
「町の人から証言は取れてる。確かに居たはずだよ」
「あの当時あそこで赤髪って言ったら…あ…」
「何か心当たりがあるんですか?」
「いや、ないないない、ありえない」
「なんですか!隠さないでください!」
「一人だけ心当たりあるけど…無いよ。絶対無い」
「なんでそう言い切れるんですか!?」
ユリウスの視線が泳ぐ。
「ちなみに君のお母さんって誰?」
「メリッサ・カーティスです。今は飲み屋『騎士の宿』の女将をやってます」
「ねぇね!?マジで?!うわぁ、メリッサさんの子?予想外に知ってる人だったぁ…そっかぁ…メリッサさんかぁ、確かに仲は良かったなぁ…」
ユリウスの挙動があからさまにおかしくなる。
「でもなぁ、そんな事あるかな…本気で不倫?」
「不倫?」
しまったという顔でユリウスは口を手で覆う。
「もしかして、その人奥さんいるんですか?!」
「うん…まぁ、結婚はしてる」
「その当時から?」
「まぁ、そうだね」
最初のコメントを投稿しよう!