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「そういえば、事件の話し、人攫いって誰が攫われたの?」
「え?あぁ、ウィルの従姉妹のお姉さんが攫われたんですよ。なんか『Ω狩り』とか言って…」
瞬間カイトの顔色が変わった。
そういえば彼もΩだった、そりゃあ攫われているのが自分と同じΩだと思えば怖いよね。
「あ、でもここにいれば安全…」
なんと言っても騎士団の詰所の中だ、万が一にも人攫いは現れないだろう。
「Ω狩り…へぇ、野蛮な人間もいたもんだね」
だが、脅えているのかと思ったカイトは瞳を細めてにいっと笑みを見せたのだ。
あれ?なんか想像した反応と違う。
「僕ね、そういうの大嫌いなんだよねぇ。Ωだからって何しても、言っても許されるみたいに思ってる人ってホント、ムカつく。死ねばいいのに」
「え…まぁ、犯罪はよくないですよね」
なんか、さっきまでのしおらしい感じが消え失せて怖いんですけど…
「そっか…Ω狩り、僕囮に立候補してこようかなぁ」
「え!?」
「だって相手が欲しいのは番のいないΩなんじゃないの?独り身のΩは高値で売れるって聞いたことあるよ。それに僕はΩの中でも珍しい男のΩだしね」
「それはそうかも知れないですけど、囮なんか危ないですよ。ここは犯人が捕まるまで大人しくしてた方が…」
「結局一般参加も蹴っちゃって、僕、暴れ足りないんだよねぇ。むしゃくしゃしてるし、相手が犯罪者なら多少怪我させたって文句言われないよね?」
そんな、にっこり全開の笑顔で言われても…
「駄目ですって!ここは本職に任せた方がいいと思います」
「来年には僕だって本職さ。職場体験的にはうってつけじゃない?」
「えぇぇえぇぇ…」
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