動き出す過去の亡霊

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「ノエルまたね!」とカイトは手を振って、先を歩くツキノの後を追うように行ってしまった。 …分からない、あの2人の関係がさっぱり分からない… 俺は改めてベッドに腰掛け、今の会話を反芻する。 『ユリが家に来た。だから、迎えに来た』 ユリウスさんが家に来た、という事はユリウスさんはたぶんカイトを心配していたからカイトの家にも寄ったのだろう、カイトはΩだし、安全確認の意味合いもあったのだと思う。 そしてツキノはそこでΩ狩りの話を聞いて… 「あの人、カイトを心配して迎えに来たんじゃん…」 それに気付いて脱力する。 たぶんツキノはカイトの行きそうな場所を大体把握しているのではないかと推測される。 心配して、探して、迎えに来た…って、もう素直じゃない! しかも心配していた相手があんな能天気な事言い出したら溜息吐きたくなる気持ちも分かる!分かるよっ。 カイトはツキノを優しくないと言っていたが、実は気付いていないだけなんじゃあ…?という疑念が湧く。 確かにツキノの言動も非常に分かり難い、けれど自分が睨まれたのはたぶん牽制、分かり難いのに分かりやすい…まさに割れ鍋に綴じ蓋。 俺はなんだかほっとしたのと、脱力したのとで一気に疲れが前面に出てきた。 なんだかんだでここ数日、まともなベットで寝ていない。 『疲れたなぁ…少し寝よう』と瞳を閉じると睡魔は程なくやってきて、俺は突っ伏すようにして、眠りに落ちてしまった。
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