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一週間後、彼女は本当にすぐに帰ってきた。
それは20年経った今でも、此処に帰ってくる度、鮮明に思い出せる。
「今年も暑いな…」
あの場所で、そう呟いた。
自分達や景色、環境は変われど、四季は変わることはない。
けたたましい蝉の声
容赦なく射す日射し
そして
「なんで…来るんだろうな…」
続ける言葉が自然と震える
君が笑った季節
「そっちのほうが眩しすぎだろ…?」
君が泣いた季節
「無ければよかったのに」
君が居なくなった季節
「来なければいいのに」
君を2度、見送った季節
「嫌いだ」
君を思い出す季節
「こんな季節……」
強い日差しで彩られる風景
青空を覆う入道雲
映らない君の姿
思い出の中、輝いていた君の面影
僕達が一緒に泣いた季節
「なんで……」
君が、四季で一番好きだと言った季節
大きな木の根元には、供えた向日葵と、彼女の名前が掘られた墓石が無感情に存在している
「夏なんてなくなればいいのに」
僕が一番嫌いな季節
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