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第1章 魔王チルリの進軍
この世界ポクパプパラの地において、無慈悲に草花を食らい蹂躙し、知能を持ち異質に進化した昆虫達は「悪魔」とされ、
その中において「魔王チルリ」は昆虫の中の王と呼ばれていた。
「我らが種を運び受粉するからこそ、草花は次の世代を残せるのだ…」
「いわば、我々はこの世界の神なのだ…」
「妖精ごときに、この世界を好きにはさせん!!」
「我ら昆虫こそが、このポクパプパラの覇者にふさわしいのだ!!」
黒く巨大な大樹「キスカヌ」の根に空いた巣から、魔王チルリはその黒光りする30センチメートルを超える巨体と異形たる姿を、整然と並び飛び回る昆虫達に晒すと
耳をつんざく怒号をあげて、6本ある長い手足の前2本を挙げ、数え切れない程の昆虫達に進軍の指示を下した。
鋭く生えた短いハサミを前2本の手足で掃除しながら、ゆっくりと進み飛び立つ昆虫達を「喰らいたい」感情を抑えながら見送っていた…
「ああ…喰いたいコイツら全員…」
チルリはそう言うと真横で蠢いていた、小型の昆虫を反射的に鋭く光る短いハサミで掴むと
小型の昆虫をこれでもかと言うほどハサミで無惨にもガチガチちぎり捕食した…
「ああ…旨い…早く妖精共も喰らってみたいものだ…」
チルリはそう言いながら、また近くで蠢く昆虫に素早く近づき、ハサミでガチガチちぎり捕食した…
「なんて旨いんだ…コイツらは…まさに俺の兵隊にふさわしい…」
「妖精共め…覚悟するといい…」
チルリは落ち着き無くハサミを掃除すると、手当たり次第に昆虫達に近づき捕食して行った…
チルリのその魔王たる姿に他の昆虫達は戦慄を覚えながら、我先へと進軍して行った。
チルリの巨木城のある国「ジマジマンジ」から西へ地続きで数十キロメートル離れた場所に隣接して「プペパペ国」が存在していたが
「ジマジマンジ国」を拒絶するかのように1000メートル級の「ピネピネ山」が2つの国々を国境のように割り、
まるで魔王チルリの進軍を、ずっと昔から予期していたと言わんばかりにそびえ立っていた…
ポクパプパラ世界は周りを海で囲まれ、東西南北に数千キロメートルに及ぶ巨大な十字架のような大陸になっており、
ほとんどの場所で昆虫と妖精の争いが起き、プペパペ国とジマジマンジ国はちょうど大陸の中央に位置していて、
「魔王チルリ」の存在からも各国からは決戦場と言われていた…
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