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俺の名前は、一ノ瀬夕生。昨日入学式を終えて、今日から高校生の仲間入り。高校生という響きに、少し浮かれていた。
「高校生か~。」
思わずそう呟くと、後ろから声をかけられる。
「よっ!お前、名前何ていうの?」
振り向くと、明るくて犬っぽい、クラスのムードメーカー的存在の彼がいた。
「俺?一ノ瀬夕生。」
「夕生か~、よろしくな!」
「よろしく。えっと、確か……」
「卯月翔海(うつき かける)だ。」
俺は高校生活早々、翔海という仲のいい友達が出来た。とりあえず、ぼっちは免れた。友達が出来たということは、俺は自分の秘密を隠さないといけない。気をつけないと。そう思いながら周りを見ると、初日とは思えないくらい、グループが出来ていた。
「こんなに早く、打ち解けるなんてみんな凄いな。」
そう言うと、翔海が口を開く。
「このクラスは陽キャの集まりかもね。それはそうと、俺実は昨日仲良くなった奴らいるんだけど紹介するよ!夕生も俺らのグループ入れよ。」
「え、早いね。俺が翔海の仲良いグループ入っても…大丈夫なの?」
「大丈夫だって!みんな、誰でもグループに誘っていいって言ってたし!早く早く、あっちだよ!」
「あ、ちょっと待ってよ!」
俺は、慌てて翔海の後を追う。翔海についていくと5、6人の同じクラスの生徒がいた。
「夕生、こいつら昨日仲良くなった奴ら。」
翔海から彼らに視線を移す。彼らは、軽く会釈をする。翔海は続ける。
「お前ら、夕生もグループに入れていいか?」
翔海がそう言うと、みんな「うん。」「もちろん。」など俺を歓迎してくれた。
「よ、よろしく。」
俺はそう挨拶をして、その日は新しく出来た友達と放課後一緒に帰った。
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