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「そういえば、夕生は部活何に入るんだ?」
「部活?」
放課後、俺たちはショッピングモールに寄り道していた時、友人達からそう聞かれ、俺がキョトンとしてると、翔海が口を開く。
「今日、部活動紹介あったじゃん!何か気になる部活とかなかった?」
「あー…何も考えてなかった。」
俺が苦笑いしながら答えると「夕生らしいな。」などと、みんな笑っていた。
「みんなは、もう決めたの?」
そう聞くと、みんな「決めたよ。」「明日からの部活動見学に行って決める。」などと、人それぞれだった。部活か…入る予定がなかったから、何も考えてなかったな~。そんなことを考えていると、翔海が声をかけてきた。
「なぁ、まだ何も決めていないなら弓道部の見学に行かない?」
「弓道部…?」
「実は俺、高校入ったら弓道やってみたいなって思ってさ!よかったら明日、一緒に見学行こうよ!」
翔海の押しに負けて、弓道部の見学に行くことになった。
翔海達と別れて、家に帰る。
「ただいま。」
鍵を開けて家の中に入る。家はシーンと静まっている。当たり前だ、1人なんだから。俺の両親は、俺が幼い頃に亡くなった。今は親戚の叔母が、お金を負担してくれている。しかし、叔母も俺にいい思いはしていない。むしろ、俺を邪魔者…悪者扱いしている。
「気持ち悪い…あんたもアイツらと一緒に死ねばよかったのに。」
叔母に言われたことを思い出しながら、俺は制服を脱いで、ジーンズを履き、白のパーカー、その上から黒い羽織りを着る。そして、家を後にする。空を見上げると、満月がとても綺麗だった。と同時に、俺の体は全身が熱くなる。
俺は…吸血鬼と人間のハーフだ。
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