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「そうかもしれません。でも人間なんです。手当しないと死んでしまうんです」
「そうですか。でも治療はここではできかねます。動物病院を紹介しますのでそちらに向かわれてください」
「この分からず屋!」
おれはそう吐き捨てると病院を出た。残ったやつらがどんな顔をしていたかは知らない。
他にも何軒か病院を回ったが、どこの対応も似たり寄ったりだった。
そうしている間にもミドリさんの息はどんどん細くなり、命の火は消えようとしていた。ここまで来たらやるしかないと思った。
次に行った病院もこれまでのやつらと同じことを言った。
「うちは動物病院じゃありません。他をあたってください」
その受付の女は、今どきの気取った眼鏡をかけていた。なにより今までの誰よりも冷淡な態度だった。
「そうかい。じゃあ、こっちにも考えがある。警察に行ってやるからな。この病院は患者を拒否したって」
「そんなこと警察が信用するはずないじゃないですか」
「じゃあ、マスコミだ。マスコミにおたくの病院が患者を拒否したってリークしてやるぞ。おれには報道関係者の知り合いがいるんだ」
「あなたいい加減にしてください」
「いい加減なもんか。おれは真剣だ。とにかく院長に会わせろ」
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