猿の葬儀

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「おばあちゃんをどこに隠したんですか? 分かった。おばあちゃんよく言ってました。おまえはそろそろ一人立ちしなくちゃいけない、って。これは芝居だったんですね。私をこの家から追い出そうと二人でお芝居してたんでしょう。本当にひどい人ですね。私のこともおばあちゃんのことも、よく知りもしないくせに勝手なことをして。早くおばあちゃんを返してください」 「言われるまでもなくそうするつもりでした」  おれはそう言うと、ゆっくりと彼女が寝ていたベッドの上にミドリさんを寝かせた。 「何やってるんですか! こんなものをおばあちゃんのベッドの上に置いて。けがらわしい。持って帰ってください」  おれは言われるがままにミドリさんを抱えた。百合香さんはすごく怒っていたけど、それでも何とかおれを見送るくらいのことはしてくれた。 「二度と私の前に姿を見せないでください! さようなら」  そう言うが早いか、玄関のドアがしまった。  冷たくなったミドリさんを後部座席に乗せ、夕暮れの国道を走った。なぜだか分からないが殺意にも似た怒りが胃液と一緒に身体の奥からわきあがってきた。     
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