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何故ここにいるのかと驚いたような表情をした秋久だったが、
次第に表情はやわらぎ、菜々を見つめる眼差しはゆったりと細まった。
「私っ、私……秋久に言わなきゃいけないことがあるの……っ!」
秋久は何かを察したように、微笑みながらひとつ頷いた。
菜々は彼にありったけの想いを伝えるために、肺に大きく空気を吸い込む。
「ずっと……、ずっと大好きでした」
遠くで小鳥の鳴き声が響く静寂には、既に暖かい祝福を含んで優しい風が吹いていた。
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