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新しく掲示物が貼られた教室は菜々の知っている教室ではあったが、そこはもう他の誰かの教室で、
懐かしさを感じるのにまるで知らない場所のようだった。
春休み明けの薄い埃臭さの中に、真新しい制汗剤の石鹸のような香りが混じっている。
「懐かしい……」
「そっかぁ……一年ぶりでも、懐かしさはあるわよね」
梓がくすくすと笑うそばで、菜々は自分の机を探した。
全て同じように見えても、違いのわかる机の木目を見つけ
今も端に開いている穴を撫でる。
それは間違いなく、菜々が使っていた机だった。
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