57人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
*
飛ぶように教室を駆け出て、春の陽が降り注ぐ外に出た菜々は部室棟へと走った。
息を切らして古びた部室棟へたどり着くと、石階段の下にある野球部の部室から出てきた秋久を見つけた。
少し髪が伸びているが、その眼差しは以前と何ひとつ変わらない。
菜々は思い切り叫ぶ。
「秋久ぁーーーっ!!」
「…………菜々?」
二人の間に、校庭から砂埃の混じる風が吹いた。
最初のコメントを投稿しよう!