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一年後───。
「わぁ……久しぶりだなぁ」
大学二年目の春を迎えた菜々は、母校の離任式に訪れていた。
高校で三年間世話になった音楽教師・梓が母校を離れることになったからだ。
「梓せんせー!」
式典を終えて職員室から出てきた梓は、白いジャケットにピンクのブラウスを着て華やかな装いで
両手には沢山の花束が溢れそうなほど抱えられていた。
「菜々ちゃーん! ちょっと車に積むの手伝って、花束落っこちる……って、うわぁっ!」
梓が慌てて言うそばから小さな花束が次々にこぼれ落ちた。
アスファルトに打ち付けられ、梓は驚いて声を上げる。
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