想いは隠せない

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 わたしが吉沢くんに一目惚れをしたのは、今年の四月。高校二年に進級し、たまたま席が前後になった。 「これから一年間、よろしくね」  振り返ってそう言った彼の笑顔に、わたしの胸は撃ち抜かれた。その感情が恋だとわかるほど、はっきりとした衝撃を受けた。  それからは、ふとした拍子に彼の姿が思い浮かぶようになり、学校で見かけるたびに、彼を目で追うようになった。もちろん、本人には気づかれないよう、こっそりと。  整った外見や雰囲気ばかりに目がいっていたことは否定できないけど、次第に彼の優しさやちょっとイジワルなところも見えてきて、新しい一面を知るたびに吉沢くんへの想いはどんどん膨らんでいった。  好きという気持ちが大きくなりすぎて、何度も気持ちを言葉で表してしまおうと思うこともあった。だけど、そのたびに、もしふられたらと不安になり、いまの関係を壊してしまうことを恐れ、一歩を踏み出す勇気がなかった。このまま、友達として彼の近くにいられるだけで充分ではないか、それ以上のものを望んだら罰が当たるのではないか。  気持ちに蓋をして、悶々としたまま過ごしていたら、いつの間にか数か月が経っていた。
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