わたしは彼を好きじゃない

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「今日、部活遅くなる?」とわたしは訊いた。 「まあ、ほどほどに?」 「そう……じゃあ、終わったら連絡して」 「えっ」と犬飼が間抜けな顔をする。 「せっかくだし、一緒に帰ろう。それとも、嫌?」 「まさか。ぜんぜん。わかった、メールする。あ、でも、面倒になったからひとりで帰るとか言うんじゃねーぞ」 「わたしがそんな薄情な人間じゃないことは、あんたが一番よく知ってるでしょう?」 「それもそうだ」  犬飼は頷くと、飛び跳ねるようにグラウンドへ走っていった。それからくるりとこちらを振り向き、 「ひなたー、俺もおまえのこと大好きだー!」  盛大に告白していった。  あふれんばかりの幸せを胸に抱きながら、夕陽に照らされた彼の姿を、わたしはずっと見つめ続けた。
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