私、死んじゃった。

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和美 「むふふ、これで恋愛も解禁だ~、芽が出るまではと恋愛は禁止していたから~。もうす  ぐ私も……だから、これが最後のチャンス。おっさんだらけの誘導員に新しく入って来た、あ  の子、片側通行で失敗して怒られていたあの子! ちょっと歳の差はあるけど……、今度ベテ  ランの私がじっくりとお、し、え、てあげる! 私が守ってあげるの~、むふふ、クピクピ  んっあ~、うまい!」    さらにお湯を沸かす和美、焼酎の量が増えて行く。 和美 「あ……、お風呂入ろう。よーく磨いておこう。ーーフン!」    フラフラと立ち上がり、気合で服と下着を脱ぎさり、タオルを持って浴槽に向かう。    浴室に足を踏み入れー、ッルリ!  浴槽の角に頭をぶつける音 ゴイ~~~ン!  和美 「ハッ、クバッ!」    浴槽の角に頭をぶつけて気絶する。   回想終わり 〇同 浴室 (深夜)    気絶した後そのまま凍死して、うつ伏せに倒れている和美の横に半透明の和美が頭を抱え  て立っている。    和美は何回も繋ぎなおそうと努力したが、目の前にある魂の尾が完全に切れていること   で、自分の死を受け入れた。    不意に顔を上げる。 和美 「美味しかったの……、そう、お芋のお酒赤霧は美味しかったの! それに一緒に奮発した  カンパチとカツオのたたきが甘くて、もうとろけそうなぐらい美味しかったの! だから飲  み過ぎたのは私のせいじゃないと……、思うの」    そのまま地縛霊になりそうな勢いで落ち込む。 和美 「シナリオライターを目指して熊本から出て来て十年、やっと初めて入選したのに……。     
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