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お客さん用にと用意していた布団を敷いてあげて、自分はその隣のベッドに入り込んだ。
眠気が直ぐに襲い目を閉じたのだが、それからどれくらい経ったのだろうか、唸り声で目を覚ました。
カーテンの向こうはまだ暗い、そんなに経っていないようだ。
部屋の小さな明かりの中、友人の方を覗き込むと苦しそうに唸っている。
「大丈夫!?」
私はベッドから起きて彼女の体を揺する。しかし、全然起きる気配はない。
「うっ・・・ぐっ・・・ううっ」
彼女は暗い中でも分かる程顔が紅潮して、やがて白目を剥き出した。
私は電気をつけ、部屋の電話に手を伸ばした瞬間・・・。
《プルルルルルルルルルルル・・・》
電話が鳴った音に驚き、心臓が跳ねあがった。
液晶画面に「実家」と出てる。
藁にもすがる思いで、私は受話器をとった。
「もしもし、お母さん?」
今思えば不思議だけど、こんな時間に電話が来るわけ無いんだよね、だけどその時は母からだと確信があった。
「あんた、どこ行ってきたの!」
諭すような、それでいて怒っている様な、そんな様子だったが、こちらはそれどころではない。
「大変なの!友達が白目剥いて苦しんでるの、救急車呼ばないと!」
しかし、母からは意外な言葉を聞かされた。
「落ち着いてよく考えてみなさい。その子は本当にあんたの友達なの?」
一瞬、何言ってるんだろうと思ったが、私は廃墟へ行った時の事を思い出した。
私、友達、友達の彼氏、三人で出掛けた。
帰りの車に運転席にその彼氏、助手席に彼女である友達、後部座席に私、それと部屋にいる友達・・・
えっ?
そこでようやく私は気づいた。
三人で出掛けた。
四人で帰ってきた。
気づいた瞬間・・・いや、なぜ今まで気づかなかったのか、全身に鳥肌が立つというのは正にこの事、震えと共に背後で気配がする。
声が出せずに、ゆっくり背後に振り向くと、名前もわからない女の子が、うつろな瞳でこっちを向いて立っている。
青白い顔、首元は赤黒い痣がヒモ状にあって、私が見た瞬間、瞳が左右上下に世話しなく動きだす、それはとてもこの世の者とは思えなかった・・・。
「カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ・・・・」
口端からダラダラと涎を垂らし、歯を鳴らす音が耳に入り、私はそこで意識を失った。
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