廃墟へ

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目覚めると、部屋の中にあの女の子はいなくて代わりに母が文句を言いながら掃除していた。 とっくに日は昇り、お昼になっていた。 「あんた片付けしなさいよ。」 いつも通りの小言に、これは現実なんだと心底安心した。 「お母さん。」 「大丈夫よ、もう帰ったから。」 母はそれだけ言ってお昼ご飯を作ってくれた。 何となく聞きづらくてそれ以上は聞くのを止めたんだけど、母が帰り際に「あんたは憑かれやすいんだから、そーいう所に行くもんじゃない。私の手の届かない場所にいたら何も出来ないから。」と言われた。 今更ながら、ああ、母がいたから今まで恐い思いをしなくて済んでたのかと思った。 あれから私は誘われてもそーいう場所に近づかないようにしているのだけど、他の子達はやっぱり好きだからよく行ってるらしい。 その後、一度だけ母から助言(警告?)があった。 あんたの周りに悪いモノに憑かれてる子がいるわ。大方、刺激する様な事でもしたんだろうね、ありゃ駄目だわ。だから、近づかない方がいい。 到底母がどうにか出来る相手ではないらしい。 私は彼女に行かない方がいいみたいと言ってみたけど、聞き入れて貰えなかった。 余談だが、その子は突然原因不明の病になって、歩く事が困難になり今は引きづりながら何とか歩けているようだ。 ・・・・その子と言うのが、よく「廃」とつく名前の場所へと行きたがる子だった。 偶然かもしれない。・・・・・でも、そうでもないのかもしれないと思うようになった出来事だった。
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