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「ああ、アレね。実はあのあと3回もやられてさ、可哀そうに、学校のウサギ全滅よ」
「いやだ、犯人はまだ見つかってないの?」
「うーん、ウチの生徒の仕業じゃないかって言われているけどね。ホラ、ウチの学校進学校じゃない? 受験勉強でストレス溜まっている子とか多いからさ」
「こわっ。でもさ、犯人絶対呪われると思うよ」
「それがさ、この間ある保護者が半狂乱で学校に電話掛けてきちゃってさ、『ウチの子の眼が赤いんですけど、殺されたウサギの祟りなんじゃないでしょうかっ!?』とかパ二クってんの。違うって、その日は水泳の授業があったから、眼が赤くなっただけだっつぅの。笑えるでしょ?『ウサギの祟り』だなんて、『キツネ』とかだったらまだしもさ」
そう言って、大笑いするM子の口元に、私の視線は釘づけになった。
M子? 貴女の前歯って、そんなに出ていたっけ? それにその赤い目……、ううん酔っているだけだよね? ……ねえ、貴女の耳、気のせいかな? なんだか長くなっていない?
一気に酔いが冷めていく頭の中で、幾つもの疑問符が廻っていた。
「M子、貴女の言う気分転換って……」
私の声が聞こえているのかいないのか、M子は美味しそうに野菜スティックのニンジンを、ポリポリといつまでも齧り続けていた。
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