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父の作り上げたこの店を守ること。
それがグリスに与えられた使命の一つだった。
そしてもう一つ、仰せ付かった大きな使命がある。
「グリス、おっはよぉ!」
作業台の下から、グリスの腰あたりの小さな背丈の男の子が顔を出し駆け寄ってくる。
金色でふわふわのくせっ毛と紫色の大きな目が真直ぐにグリスを捉えている。
「おはよう、ミメル。」
ミメルの頭を撫でると、彼は嬉しそうににっこりと笑う。
次いで作業台の下から出てきたのは、赤い髪を肩で切り揃えたミメルよりも少し小さな女の子。
「おはようございます、グリス。」
柔らかな雰囲気で、彼女もまたこちらを見て微笑んでいる。
「おはよう、レディア。」
ミメルと同じように彼女の頭を撫でると、気持ちよさそうに頭を手に擦寄らせた。
「イルナは?」
「いますよぉ。」
両手で2人の頭を撫でていると、2人とは違う、短く切った黒髪の、物静かな雰囲気の男の子が作業台の下から出てくる。
「....おはよ。」
「おはよう、イルナ。」
あまり笑顔を見せない彼には近づき難い雰囲気があるが、他の2人と同じように頭を撫でる。
されるがままになっているという事は、彼も撫でられるのは嫌いじゃないのだろう。
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