1度きりのさようなら。

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(あのね、変なことを言ってもいい?) なあに?面白いこと? (僕、君のこと好きになっちゃったみたいなんだ。) …。 (だから、もし良かったらなんだけど、毎日別な人と寝るんじゃなくて…。これからはずっと僕と一緒に過ごそうよ。) ありがとう。そう言ってもらえて凄く嬉しいなぁ。あなたみたいな素敵な人と本当にずっと一緒にいられたら、きっと幸せなんだろうなぁ。 でもね、あのね、あたしね、だめなの。お母さんが死んだあの日から、ずっとそうなの。あの日、目の前でお母さんが死んでく光景がずっと頭から離れなくって。あの日からずっと、あたしから離れないの。 (あれ、どこ行っちゃうの…?) あたし、独りが嫌いなんじゃなくて。人とくっついて寝るのが好きなんじゃなくてね。 愛してくれた人が離れていく快感がね、ずっと離れてくれないの! だから、あなたとはさようなら。 「あの、お姉さん、お人形ベンチに忘れてますよ。」 「…それ、ゴミなの。よかったらあなたにあげる。」
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