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夏樹は、
「まあな、騒がれてるっちゃー騒がれてる。でも秋や冬依のことなら心配いらねーさ。学校のセキュリティは信用できるし、それぞれに頼もしいボディガードもついてる」
「ボディガード?」
春一が目をすがめれば、
「春も知ってるだろう。秋にはしっかりしたガールフレンドがいるし、冬依の側にはデカい番犬がいる」
夏樹が誰のことを指して言っているのか察して、春一は、
「ああ……」
とうなずく。
秋哉と同じクラスの三嶋カズエは、姉御肌で、クラスメートをまとめてがっちり秋哉を守ってくれているし、
冬依の側にいつもピッタリくっついている山上カエデは、強面で、学校中にニラみを効かせている。
でも、
「じゃあ家はバレてないか? 鈴音はどうだ?」
今のところ鈴音までは顔ばれした様子はないが、今まで通り無防備なら、いずれ時間の問題だろう。
鈴音を不自由な目に合わせるかもしれないが、
「夏樹、鈴音をしばらくの間、家に閉じ込めておくことは出来ないか」
真剣な顔をして言う春一に、
「わぁ、すっげぇ無茶ぶり」
夏樹は呆れかえる。
「まあ、鈴音を遠ざけようとしたのも、そんなこったろーと思ったけどさ」
さすがに荒唐無稽な要求だと、春一にだって自覚はあるが、でもこれには一応訳があるのだ。
「で?」
夏樹は聞いてくる。
「さっきのシュークリームは誰に頼んで買ってきてもらったんだ? ここで何があった」
敏い弟は話が早くてすむ。
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