110人が本棚に入れています
本棚に追加
/147ページ
「鈴音はどうしてる?」
つい聞いてしまったら、
「心配すんな、笑ってる」
「……そうか」
春一は息をつく。
やっぱり夏樹に任せておけば心配はない。
「春こそどーなんだよ。まだ帰れねーのか」
「ああ、まだ当分は無理だな」
退院ならすでにしているのだが、正確にいうと、春一は退院というより病院から追い出されていた。
春一が、
『スクープ! イケメンヒーローの黒い繋がり』
という見だしで、ゴシップ雑誌の記事になってしまったからだ。
紙面には、サングラスをかけた春一が黒いベンツの後部座席に乗り込む姿が写真で掲載された。
隣のページには目の部分を黒塗りにされた吾妻貴久の姿まである。
その記事は、
「イケメンヒーローと持ち上げられたK氏。実は暴力団関係者との噂が高いN興産COOと深く関わりを持ち、K氏がヒーローとなったくだんの事件も、そのスジの抗争だったという話がある。
それが本当だとすれば、K氏が庇ったとされる少女こそが、事件の本当の被害者だったのではないだろうか。一躍ヒーローとなったK氏の真実の姿をここに探る」
最初のコメントを投稿しよう!