桃パフェにマンゴープリン

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それにしても、 「姐さん?」 宙を空ぶった腕を所在なく下ろして、春一は鈴音に尋ねた。 聞き慣れない呼び名だ。 鈴音は恥ずかしいのか真っ赤に頬を染めたまま、 「ええ何故かそんな風に呼ばれちゃって」 いたたまれなさそうに肩をすくめる。 『……可愛い』 と、 「春兄、見惚れてるとこ悪いんだけど――」 かかった声にビクリとすくみ上がった。 「ボクらもいるんだよ、一応」 冬依だ。 「……おうよ」 秋哉も。 「知ってるよ。最初に声をかけただろうが」 ジムに入ってきた一番最初に目を止めたのが秋哉と冬依だ。 ちゃんと名前も呼んだ。 しかし冬依はずいと体を寄せてくる。 「でも春兄、鈴ちゃんを見つけてから、鈴ちゃんしか目に入っていないじゃないか」
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